製作事例

【新商品開発シーズ】ラウンドファスナー付長財布

革の長財布

革材使用商品を開発する事になってから5~6年になりますが、これまで約30種類程の商品を作れるようになりました。

当然、良きアドバイスをして戴ける「師匠」とも言える方が居ります。
弊社のソファに使用する革材を購入している会社の社長とスタッフの方がその「師匠」に当たる方です。

そんな師匠の方々からのアドバイスや、今まで作ってきた革製品のノウハウ、さらにはソファメーカーとしての今まで培ってきた技術を活かして、今回新たに「ラウンドファスナー付長財布」にチャレンジしました。新しいものづくりに対するワクワク感やそれに対して起こる大きな壁などありましたが、1つの商品として出来上がるまでの工程や苦悩を記事にしました。

是非最後までご覧ください。

過去の製作事例から得たノウハウ

カードケース

今思えば最初に手掛けた商品は「カードケース(免許証入れ)」でした。
ソファの製作は本職ですが、手に取るような小さな商品製作は初体験で、教えて頂いていてもその加工工程をなかなか呑込む事が出来ませんでした、繰り返し何度も行いながらようやくノベルティー品として差し上げられるレベルに達して来ました。

革の定期入れ

この商品を作るには専用の抜き型、4型使用します。
元々この商品の評価を頂いたのは大阪から来られた仕入先の方に差し上げた所、電車通勤で「定期入れに良い」これまで財布の中に入れて持ち歩き、駅の改札ではイチイチ財布を出しての使用が面倒だったと言います。
この方のこの言葉が革小物製作に戸惑っていた私の背を押して下さった気がします。

コースター・マウスパッド

同時にコースター、マウスパット、など、革を2枚貼り合わせて専用の打抜きの型で一気に抜き取り、刻印をして商品が完成するものなど次第にアイテムが増えてきました。

革のコースター

革2枚を貼り合わせ両面何方も使用可能なコースターです。
丸型=Φ90 角型=90x90㎜

革のマウスパッド

製作工程は「コースター」と同じですがサイズが大きく(220㎜x160㎜)マウスパットとして販売中です。

これらも当初は製作時も一生懸命で「より早く製作しより綺麗にするにはどうするか?」が自分の中の戦い、課題でした。
徐々にアイテムを増やして行く事になりますが、それでも革小物ショップを覗き、各種財布、特にファスナー付の財布は別世界の物と思っていました。
それでもいつかこのような商品製作が出来るよう頑張るしかないと言う思いを持っていました。

長財布を作るキッカケは問い合わせから

長財布をつくるキッカケはインターネット(HPミスターレザー)に岡山・倉敷の方からの問い合わせが きっかけとなりました。
財布とよく似た工程で製作する、特殊ペンケースの依頼でした。
外国製の色鉛筆12本セトを革ケースに入れて販売したいと言うご依頼でした。
この方は以前ブログにて紹介させて頂きましたが、絵画教室を経営されており、生徒さん達にこのセットを購入して頂く為高級感を重視されました。
何回もネット上で打ち合わせを行い、ご希望のデザインに達し、試作完成時、わざわざ岡山・倉敷から1泊のスケジュールで弊社までお越し頂きました、最終確認後正式発注を戴いた経緯があります。

下記のものが「試作・完成品」です。

革のペンケース

ペンケースについては別記事で詳しく書いていますので、興味がある方は下記リンクをご覧ください。

【高級感を最大限に】特注革ペンケース製作実例

この商品の完成から、長財布への製作挑戦が始まります。

製作工程と苦難点

長財布はペンを入れる部分にカードやお札を入れるように変更する事になります。
これがなかなか厄介で、サイズや工程を模索しながら進めています。
ネット検索で知った事が有ります、「ラウンドファスナー付長財布」は全工程で約500工程を超えると言います。
簡単なものでも300工程以上と言います。
材質と収納部分がポイントでお高いのはこの為のようです。
財布の表面より内側の「札入れ・カード入れ・小銭入」など、特にカード入れ部分が多い事で厄介な工程が沢山発生します。

革の長財布
※写真は財布の内側、お札入れ・カード入れ部分の準備パーツ

この部分の作業工程が一番キーポイントとなります。
写真のパーツ以外に小銭入れ部分などまだ部品作りが続きます。

革の長財布
※内側のベースとなる部分パーツ

このベース部分に別途準備した上記の部品を順番通り縫い付けて行きますが、手順を間違えると後が大変、綺麗に仕上がりません。

又、近年お札を持ち歩くより「カード払い」(キャッシュレス)が増加してくるようです。
国内でも「キャッシュレス化」を推奨しており日本はなかなかその比率が上がらないと言う事で政府もあの手この手を出してきているのが現状です。
従って、これから開発する財布は「お札入れ」より「カード入れ」部分を充実・重視した物が必要と感じています。

革の長財布
※簡単なタイプの内側がほぼ完成 画像です。
(両サイド側にカード入れを設定最低8カ所のポケット、多いもので16ヶ所のポケットを検討中)

革の長財布
※最近注目のハチの巣状のカード入れ部 この方式のカード入れもトライ中

以外にスムーズに出来る事が分かり、自信になりました。

革の長財布
※表側部分の裏側(芯材に表になる革を巻きつけた所)

表の部品(パーツ)は芯材と綺麗な革1枚で構成します。
作業工程の大部分(90%程度)は内側の工程になります。

内側と表側を専用のファスナーで縫い付ければいよいよ完成となります。
試作を重ねて感じる事は何回失敗してもそれが次の新たな作業手順発見に繋がる事を知りました。
「失敗は成功の元」の精神で次に進みます。

革の長財布
(ラウンドファスナー付 長財布:完成状態画像)

長財布などご用命な方がいらしたらお気軽にお問合せ下さい。

ミスターレザー公式サイト

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