数年前、とある学校の先生が弊社に訪ねて来られました。
来社の目的は、子ども達にレザークラフトの楽しさを味わわせたいので、弊社のソファ製作に使用した残りの牛の革を提供してもらえないかとのことでした。
その先生は、機械を使用しないで手作業で「革小物」を作ることを趣味としておられました。訪ねて来られた時、ご自分で製作された肩掛けの小さめのバックをお持ちで、その製作方法などを実に楽しそうに説明される姿が今もはっきり記憶に残っています。
とある学校とは、「福井県立福井南特別支援学校」です。
私は地元に居ながら、先生とお会いするまでその学校の存在を詳しくは知りませんでした。
学校には、小学生から高校生まで、約150名の子供達が通っていて、教科学習や作業学習などの他に、各種スポーツ競技や、地域との交流なども熱心に取り組んでいるそうです。
「自立と社会参加に必要な基本的知識、技能、態度を身に付け日常生活の中で実践出来るよう…」と日々先生方の葛藤、努力を強く感じます。
レザークラフトは「作業療法」の1つになりえる
先生との出会いから知ったことですが、レザークラフトは作業療法の一つとして、高齢者のリハビリでも取り入れられており、子ども達の手指の巧緻性を高める効果が期待できるそうです。初めは、一人で趣味を生かし授業の中で、子ども達に色々な「ものづくり」を指導されていたようですが、今では輪が広がり、何人もの先生が図工や美術、家庭科、生活単元学習などで革を使っての作品製作に取り組まれているとのことです。
また、これまで中・高等部では、作業学習の中での製品づくりについて、一般商業品としてより地域の方々に日ごろの活動を知ってもらい関心を持って頂くということを重視していたようですが、今後は、雑貨店に置いてもらえるようなレベルの高い製品づくりを目指すとのことでした。
作品一例
先生から頂いた生徒作品です。
これらの手づくり商品には細かな作業、努力の跡が見えます。先生方の持っている技術を子ども達に伝え、たとえ小さな革でも無駄にすることなく、色々な商品を皆で考え細かな作業をしながら完成させています。
会社としての思い
弊社の使用している革を隅々まで有効活用して頂けることで差し上げた革で少しでも貢献できれば幸いと考えています。
差し上げた革がバラバラな状態で、しかも革の種類が多種多様で色もバラバラ、サイズや色々な部位が有り、先生方が選別するにも大変なご苦労をお掛けする事が心苦しい所も有ります。
そんな中これからもますます進化したものづくりを目指し、十分に一般流通可能な商品作りを達成させてほしい、完成度の高いものを製作し、生徒さん達の達成感を高め社会に貢献できるよう育ってほしい、そして、社会人として立派に巣立っていかれることを祈ります。
すべて手作業には限界も有り、最小限の機械化をする事で違った領域の商品作りが可能となりそうです。
県立学校の為、自由な設備投資は難しいことですが、行政などのご理解により先生方の要望をお聞きして頂けることが重要だと思います。
革をご希望の方へ
また学校以外、その他に趣味でレザークラフトをされているサークルなどの方々など、革端材を求めて来社される方たちがおります、出来る限り要望にお応えしながら、大変お安い価格で提供させて頂いております、色々な方々と一緒に革製品の製作を共有し有効活用の輪が広がれば、と願っています。