前回までは2回に渡ってソファ製作の際に使用する機械についてご紹介してきましたが、今回「革小物製作」を詳しくご説明いたします。(前回、前々回ご紹介した機械たちについては下記リンクからご覧下さい)
ソファを製造する工程など社外の方は通常は見る事がほぼ無い為、会社訪問された方々は、口々に驚き、感動しておられます。
50年以上、会社に居れば何も珍しく無く、むしろ感動される姿を見て此方が感動します。
「革小物製作」に関しこれまで各機械なども紹介して来ましたが、改めて「工程の流れに沿って使用している機械の説明」など進めます。
そもそも「革小物製作」を行うきっかけは、ソファに使用の「牛の皮」を限りなく棄てる(廃棄量)量を少なくすべく「試行錯誤」から始めました。
たとえ小さな革製品でも製作できる革を確保します、それでも取れない「小さな革、お腹の部位」の柔らかい部分等は、止む無く廃棄とします。
革製品で人気の有るものは「全国(世界)で製作」競って販売店などに展示販売されています。
(※近年ネット販売が多いのかも?)
私は競争の激しい「バック・財布類」などは避けて「穴場商品」を探しながら試作開発します。
裁断用プレス機と抜型できれいにカット
革の裁断は専用の「プレス機」で一気に抜き取る方法が精度よく綺麗に、しかも大量に全く狂い無く裁断出来ます。(鋏やナイフは使用しません=時間と精度に問題有り)
用意した革の上に(キズなど無い部分に)「抜き型」をそっと置きプレス機で押し切ります。
※手など挟めば間違いなく大惨事になります。
プレス機の圧力は「8トンプレス」です。
複数の同じものを造る時は、「抜き型」を革面の上を移動させ、無駄のない様、隙間無く切り抜きます、これを繰り返し革の準備が完了します。
「革」以外に同時使用する「内側仕様の布地」もこの機械で、革と同じ様にカットします。
※「8トンプレス機」と「20トンプレス機」を用途に分けて使用します。
※「抜き型」は専門メーカーに依頼し特殊鋼を使い丈夫でしかも精度が抜群。
①:コースター抜き型
②:マウスパット抜き型
革・スキ機で作業しやすく
抜き取った「革パーツ」を、専用の「革・スキ機」で用途に応じて、周囲から「10㎜~15㎜」の所を「0.8㎜程度」に薄く「スキ」ます、理由は1,5㎜程ある革の厚みを「曲げたり縫製したり」するには綺麗に仕上がりません、薄くする事で作業し難く、しかも綺麗に仕上げます そのためにはスキ作業は「重要」な作業です。
※周囲を「スク」箇所は、商品によって0,5㎜~1,2㎜と決めます。
※スキ作業中
革の下側に丸い刃があり回転しながら革の裏側を薄く「そぎ落」(剝き)します。
各パーツを「スキ」終われば、部位ごとに「刻印作業」や「接着工程」及び「縫製作業」へと進みます。
刻印機でブランド価値アップ
「刻印」は「ブランド」を強調する上に有効です。
※刻印一例(福井県には恐竜博物館が有りPRの為にも商品に刻印しています)
※約「200度」近くに熱をくわえながら数トンの力でプレスしてくれる機械です。
※オリジナル商品製作時、お客様が希望する刻印を製作し指定の場所に刻印できます。
刻印の素材は「真鍮、アルミ」等で作られています。
希望のデザイン図を持ち込む事で、そのまま正確に仕上げることができます。データが有ればフリーハンドで書かれた図でも大丈夫、そのまま正確に仕上がって来ます。
※刻印機「箔押し機」と言うものを使用しています。
箔押し機ですから、「金色や銀色その他の色」も刻印可能です。
「刻印作業」は「接着作業や縫製作業前」に(平面パーツ状態で)済ませます。
接着作業で完成度を上げる
「接着作業」は、より綺麗にする為によく考え「何処をどの様に接着すれば完成度を上げられるか」を想定して行います、これは熟練の技の一つかもしれません、商品の耐久性にも直結します、更に縫製する際「縫いズレ」などカバーしてくれます。
接着剤=ソファ製作に使用する特殊接着剤を活用しています。
大型ミシンで分厚い革をきめ細かに縫製
縫製工程は専用の極厚が縫えるような大型ミシンを使い細かな部分極厚を縫える特殊ミシン等を、縫う「部位ごと」に変えています。
縫製作業はほぼ最終工程になり、失敗の許されない綺麗さが求められる、工程となります。
革色に合わせ「縫い糸」も「同色」とするか「反対色糸」を使い「縫製の特徴を強調」する事が有ります。
※上記はミシン=せまい部分の縫製に適した特殊ミシン
老眼が進み黒っぽい革を縫う時や、夕方になると大変見難く難儀ます(笑)。
次回、新商品開発「ジャバラカード入れケース」にトライする工程を紹介する予定です。またどうぞよろしくお願いいたします。