製作事例

【芸能人邸のドアを革化】革小物製作以外の作業にトライ

芸能人邸からご依頼

この度「特注」のお仕事を頂きました。
通常「革小物製作」を主に進めていますが、今回、東京都内にお住みの「某・芸能人邸」を「リフォーム」されており、その一端にお部屋のリビングルーム?「ドア」を革で装飾したいと言うご要望です。

単に革を張るだけなら、そんなに苦労をする事は無いかと思いますが、革を5㎝幅にカットし帯状の革を縦・横にキッチリ編み込んでほしいと言うものです。

革の編み込み
※サンプル製作提供し受注決定(サンプルは30cm角の小さなもの)

「4色」の革を編み込んでサンプルを昨年11月頃 提供しました。
このサンプルがお気に入りとなり、この2月に正式なご依頼となりました。
これからが大変、ドアの大きさが通常でなく(高さ2400㎜)「どんな豪邸か?」といろいろ想像します。
こんな住宅にお住いの芸能人、かなりの拘りをお持ちの様で、ミスを許さないだろうと思われる(当然何をしてもミスはアウトですが…)

使用中に変化を起こさない様に注意です、(革に関しては「経年変化・劣化」は避けられませんが…。
その、「経年変化は革の特徴」として味わって頂ける方かと思います。

芸能人のお名前を明かして頂けませんが、私達と大きな違い、別世界を感じます。

ドアとなる材料の手配にしても、サイズ(厚みと縦・横)に関し厳しく、ミリ単位の指定を頂いております。

木部(下地)は革の厚みを考慮し、指定サイズになる様正確にカットします。
その後「難燃性」のウレタンフォーム3㎜程度を全面に貼り付けます。
「難燃性のウレタン」を使用する事で火災事故などに多少は対応すべきかとの配慮から考えサービスします。
革に関してはまずご希望されている革幅より少々大き目に裁断し、芯材となる硬めの不織布に更に3㎜の難燃性ウレタンを貼り付けると言うなかなか大変な作業となります。
この不織布に革を巻き込む作業がまた大変です、専用の機械をお持ちの会社にお願いし、ベルト状に仕上げます。
※上の短い方が50㎜幅に加工した革ベルト)(表側)
革ベルト
※下の長い方が芯材を入れて革を巻き込む作業が大変(裏側)

木部の下地に縦=約20枚、横=約50枚を編み込みます。
隙間は1㎜程度とし、縦・横、共緩み無きよう、しっかり引っ張り込む事が求められます。
私はソファ造りが本業で、入社後50年以上キャリアが有りますが、ソファ以外に革材など使用した商品作りは久し振りです。

過去にスナック店内も

今回の特殊作業以外に思い出すのは40年ほど前「京都・祇園街」の一角にあるスナック店の室内装飾とイスの張替を、「夜12時~翌朝11時頃までに完了させてほしい」と言う事で私も含め職人10名程乗り込んで必死で徹夜作業した事を思い出しました。
お店のカウンター下側の(膝が当たる位置)にいわゆる「布団張り」と言う特殊な工法を指定されまして、初めての体験をしました。
「布団張り=30㎜厚みのウレタンを200㎜程の短冊状にカットし張材(エンビレザー)を張る工法」です。

また同時期頃(40年ほど前)、今度は敦賀市内の「スナックバー」の「イスの張かえ」をやはり夜の営業時間終了時から翌日お昼の12時頃までに完成してほしいと言う過酷な作業でした。
持って帰って工場で作業するには「往復移動時間」が3時間ほどかかり、現場で作業した方が「効率」が良いと言う判断だったと思います。
50年も経てば色々な作業を経験します、ソファ専門メーカと言ってもソファ製作以外の仕事など依頼が入ります。
何事も経験でしょうが苦悩と失敗を繰り返し、現状が有ります。

現在は「革小物」製作に「蝋燭の火が消える前の最後の頑張り」と思って「老体に鞭打って」頑張っています。

色々ご指導頂いている方々に心より感謝しております。
正に「継続は力なり」でしょうか…。

※後日談。ついに超巨大な革の網目状のドアが完成しました。詳しくは下記リンクからどうぞ。

ミスターレザーはコチラ

-製作事例

© 2023 革ブログ