製作工程 革の知識

ソファ製作&革小物製作で使用する機械たち2

前回ブログ「ソファ製作&革小物製作で使用する機械たち1」に続き ソファ製造、最終工程となる「仕上げ部門:上張り」と呼んでいる工程の紹介です。

張る作業

この作業をする人を「ソファ・張り職人」と言われていた時代が有りましたが現在は単に「上張り工程」と言っています。

「上張り」に対し「下張り」と言う作業工程が有ります。
木部や、スチール構造の骨組みに「バネやウレタンフォーム」を取り付けます(接着)
ソファの「クッション性」を高めるには、「バネの選定」と「ウレタンフォーム」の品質も「クッション性や耐久性」に大きく影響します。

ソファ構造にウレタンフォームを取り付けた所
※ソファ構造にウレタンフォームを取り付けた所(写真はリクライナーの座と背)

次に、この工程で「木部構造」や「スチール構造」にクッション材(バネやウレタン)をセットされた「本体」に「布地やレザー」等を「張る」(縫製された立体カバーの被せ)作業に移ります。

張地サンプル数は300種類以上

(少々脱線します)弊社の場合「張地」に関してはすべてお客様からのご要望に沿って(完全受注生産)決められた納期で仕上げます。
全国のお取引店(家具量販店様)に弊社が対応可能な「張地サンプル」を配布します、対応可能な「張地サンプル数」は300種を越えます。
張地には、「布地・合成皮革・天然皮革」などが有り、中には一部輸入素材も含まれます。
これらのカットサンプルは全国の取引店様「約300店」を超すお店に弊社営業担当が配布して行きます、しかもこのサンプルは季節により追加や廃番が有り、その都度出し入れの手配をします(廃番品は取り除き新しものは追加します)
300種類のサンプルに300店のお店分を準備するには、最低9万部の準備が必要となり、膨大な「先行投資」です(笑)
(サンプル=A4サイズ)
この配布を「ミス」すると「商品受注時」のトラブル発生と成り、確認を怠らないよう要注意です。

約9万種類の革のサンプル
※出荷前のカットサンプルの一部

お取引様に配布が完了すれば、ユーザーがお店に訪れた時、お気に入りの「ソファのデザイン・座り心地」を先ず決め、そのソファにどの張地にするか決定され、お店を通じて「マルイチセーリング本社」に発注されます。

これらを取りまとめ生産部に「生産指示書発行」します。
生産関連の各担当は一斉に材料の手配、部材の手配等進めます。

エアータッカーで打ち込み

(脱線から復帰します)前回のブログ「ソファ製作&革小物製作で使用する機械たち1」で紹介した工程から、仕上げ工程の説明に飛びます。
ここからは、大きな機械に頼る事無く、手作業が中心となります。
手作業ですから「職人の技」が商品の「仕上げの良し悪し」に直結します。

エアータッカー
※ホッチキスの大型のような=「エアータッカー」と言います。
約10㎜のホッチキス針より太い釘(針)を木部に張地ごと打ち込みます、簡単に手にも刺さります、刺されば とんでも無く痛いです。

この工程は職人の「技術、熟練」を要します(私も20歳~30歳頃まで担当していました、今では遥か昔の事…)
(エアーホース(写真右下の赤いホース)コンプレッサーから圧縮した空気を通します)

この「道具」と言うか「小型の機械」は圧縮したエアーの力で釘を打ち出します。
(黒い部分)「引き金」が有りこの部分を握れば「釘(針)」が瞬発で飛び出します、大型コンプレッサー(10馬力、と言っても分かりづらいですが)で圧縮した空気の力は「何十トン」もの力を発揮します。(車でも持ち上げます)

大型コンプレッサー
大型コンプレッサー(手前と奥に2台で対応:計20馬力

これらの機械が有る事で、人力に頼る部分を大きく軽減しています。
ここの工程で注意ポイントは沢山ありますが、特に「張地に余計なシワを残さない・必要以上に引っ張らない・織物の柄等にゆがみ無く見た目の違和感を出さない」等がこの工程の「要注意項目」です
近年は昔と異なり、ソファ1台でも生産工程では「座面・背・肘」などに分解した状態で生産します、その後これらを「組み立て」1台の「ソファ」として完成します。

検査・出荷作業

ソファ組立の最終検査
※最終検査しながら組立作業します。

上記写真の様に(写真は2人掛けリクライナ—ソファ 幅約1.3m)検査・組立後、最終梱包作業しますが、ソファは大きいサイズで、長さ2mを超えるソファが有り、又、1本の重さ=30~50kgと重く、毎日「100本」前後を梱包、出荷します。

梱包後のケースは出荷までの時間(ほぼ当日出荷します)省スペースを考え正方形以外のケースは全て「立てた状態」で出荷を待ちます。
この時、梱包作業担当者の体にダメージを与えます(特に腰部)
ケースに入れる時は横向きで入れますが、その後ケースを立てるには足腰に力を入れて一気に立てなければなりません。
1個2個なら頑張れますが、1日100個も有れば体がもたない、
社員の体を少しでも楽にしたいと言う思いで、私が設計し近くの鉄工所に依頼し下記の様な「特注・反転機」を造り設置しました。
今では担当社員に大変感謝されています。
(女性でもスイッチonで立ちます)

特注・反転機
別注ケース反転機(作業中の女性と比較すればケースの大きさが分かります)

写真奥に出荷を待つ「完成した商品群」が有ります。
全国、お取引先様のお店を通じて、ご発注頂いた「お宅」に設置されマルイチ商品を買って良かったと感動して頂く事を願って日々活動中です。

※次回は革小物製作に使う機械について詳しくご紹介いたします。

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