製作事例 革の知識

革関連の「リサイクル」素材のいろいろ(ウレタンフォーム・リサイクル革)

現在の豊かな文化を支える様々な商品が有ります、商品を製作する為の「素材」もまた多種多様です。

弊社ではソファの製造を行っています、ソファを製造する為には数百種類の部品、部材、材料を使用します。
小さな部品では「ネジ類・布地を留めるタッカー針、接着剤」等から
建築素材「スチールパイプ類」 クッション部分の「バネ類・ウレタンフォーム」「革・布地・合皮」など「張地各種」が有ります。

弊社内の合言葉として「3R=リユース・リデュース・リサイクル」が有ります、一個の「部品、材料」に至るすべてを「3R」を意識して選択し採用します。

今回「リサイクル」にスポットを当てます。
その理由として、製作中に端材として廃棄される運命の材料の一部を回収し、新たな材料として認められる素材が多々ある事から今回の「テーマ」としました。

ウレタンフォームのリサイクル

「家具業界」では普通に使用していますが、「ウレタンフォームの断材」を回収し、専門メーカがこれを更に粉砕した状態にします、粉砕された素材を「圧縮、固定」し「チップ ウレタンフォーム」として蘇らせています。
専門(製造)メーカに行くとこのタイプの「リサイクル品」がビックリするほどの「品種」が有ります(硬さの色々です)
「JR専用素材、航空機専用」等、各業界から依頼される「品質」に仕上げ、納品されています。

※専門メーカにて「ウレタンフォームの端材」を細かく粉砕し「リサイクルウレタン」として蘇ります(写真:カット前のブロックの状態:1ブロック100kg近くあります)
見た目は大理石の様な柄とも言う方も居ます)

※ソファのシート部、底部分にチップウレタンを使用する事が主(型崩れ防止等)

※チップウレタンの品質はメーカにて厳重管理され、優れたリサイクル品で用途は様々

中国や韓国においては「チップウレタン」は「粗悪品」と言う位置づけ、それは日本の様に「十分な製造管理」がされていない為、製品毎に異なる品質となっている、そのようなものを使用してもソファに仕上がって来れば「1本1本硬さにバラつき」が有り、また耐久性が劣る事になります。

国内メーカでは「製造過程」で回収したウレタンの品種別に分類し同等品を同じように粉砕し、これを決められた容量で一気にプレスされる。
この作業を怠る事無く、またプレス機の油圧性能等細かな管理が見事です(何度かこの工程見学をさせて戴いていますが驚きです)

「その他の素材」にも多くの商品がリサイクルされたものが使用されています「新聞紙や段ボール」などもリサイクル紙です。

リサイクル革

この度、珍しい「革材」(リサイクル革)を持ち込まれ、この「リサイクル革にて、ティッシュケースを製作してほしい」と言うご要望です。
「牛皮の端材を粉砕」し、ラテックス樹脂などを用いて特殊加工します、約1~1.3㎜の厚みに整え、通常の革の様になった状態で入荷して来ます。
少し調べた所この製法は古く、約100年前ヨーロッパ「ドイツ」で製造始めたと記されています、革材100%で無く、ラテックス樹脂にて粉砕された革材を硬め「板状」に仕上げています。

今回は国内のメーカさんが(多分国内では一社?)製造したものが納入されて来ました。
※この会社では100年前からドイツより輸入販売も手掛けていて現在は「プラスチック製造メーカ」のノウハウにて国内で製造されているようです。

※ティッシュケースを作った後の端材でマウスパット・コースターカップホルダー等作って見ました。

※リサイクル革:コースター(表面は滑らかですが一見大理石の様な柄状態です)

※カップホルダー(コンビニにて販売のM・Lカップサイズ兼用)

「マウスパットやコースター・カップホルダー」に関しては、端材活用で少々の余り部分で作って見ました。

ただこの革の欠点として、通常の革と比べ強度面で劣ります。
縫製時、ミシン目に沿って破れる恐れがあります(粗目で縫製します)

表面は「チップウレタン」とよく似たイメージで色々な色が混ざっていて「見た目」はおもしろい表情かも知れません。
強度の必要な商品には、この素材は採用しない方が良いと感じます。

「通常革」より硬く、作業は困難ですが、「リサイクル」と言う事から、また、市場にあまりなじみが無い革で採用されたのかと思います。

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